お日さまの笑顔に導かれ


「‥オレ、奈々実と婚約するかもしんない」


「え!?」


奏太のほうを向いたらだいたい予想ついてたのか、さっき注いだ紅茶を飲んでて、冷静だった。


「な、なんで?」


「冬夜んちは、代々医者の家系なんだよ。奈々実んちもそうなんだけど、それで、今片桐医院の買収話が出てるんだ。けど、片桐の名前は、残したい。それで出てきたのが、冬夜と奈々実の婚約話。」


「奏太ビンゴ。」


「‥‥そんなの現実にあるんだ」


「‥オレだって将来家を継ぐ身だから、名前は守りたい。けど、この間奈々実に告白されて、実際そこまで、感情がないんだ。奈々実が好きで居てくれるなら、オレもそれに応えたい。でも、今は無理。奈々実とは形式だけで付き合って傷つけたくないんだ。」


「‥冬夜」


冬夜は紳士だ。
いくら奈々実が冬夜を好きだからって冬夜が好きじゃなきゃ、付き合う意味ない。付き合っても、辛いだけだよね


「‥‥奈々実はなんて言ってんだ?」


奏太が聞いた。


「オレがいいならいいって。」


もうこれは冬夜の選択にかかってるってことか。
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