小さな温かさ
思い出のレシート
「あ、懐かしいなこれ。」
そう言ってカナメが出していたのは数ヶ月前にデートに行った時のレシートだった。
私たちは今大学生。
普段はお互いに授業やらバイトやらなんやらで忙しくてなかなかデートなんて行かないので、私も懐かしいなーって思った。
「どうして、またこのレシートが残っていたの?」
そう疑問に思って聞く。
なぜなら、それはイベント会場で昼食をとった時のものだったから。
特に残しておくべき点は見当たらない。
なんかまぎれこんじゃってたらしい、とかなんとかカナメは説明していたけど嬉しそうだった。
「捨てるか、これ。」
そう言ってカナメはこちらを見て笑った。
「リナ。こういう感じのレシートなんて、50年近く・・・いや、それ以上たまるから。」
この時はそんなことが本当になるなんて、知らなかった。
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