【短編】七階から、君を。
***


『お父様。サンドウィッチ、作ってきた』

誰かの手が、固いスチールの机に包みを置く。

人が、駆けてきた。


『っセイナ様!?逃げて下さい!!』

『引力がおかしい!!中に博士をっ!!』

『博士ぇぇぇっ!!』


『何、どうしたって───』


視界がオレンジに染まる。
その中の、人影は。


『父様っ!!お父様っ!!』

『セイナ様っ!離れてください!!』


大勢の手が、腕に絡み付く。

やめて。まだ、助かるかも、しれないから──。


『嫌よっ、離して!!嫌ああああああ!!』


叫んだ、瞬間。

《冷却装置、発動》


響く機械音声。


『ダメだっ、冷却装置がセイナ様の声に反応したっ!』

『どうしたら…!』

白衣姿の研究員が泣き喚く中、一際落ち着いた声が聞こえた。

『お前がやったんだ、そうだろう?深の娘』

『私はっ!どうすれば、』

『解除など容易いこと。お前の心臓にパスワードが刻まれている、知っていたか?』

『知るはずないだろうな。さあ、こっちへ──』


『セイナっ!!』

『大丈夫か!?』


良かった。

来てくれたんだね、ソーマ。

それから、もう一人───。












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