【短編】七階から、君を。
***
冷や汗をかいて、勢いよく起き上がった。
嫌な、夢。
部屋のオレンジの灯りに少しほっとする。
しかし、辺りを見回して言葉を失った。
自分のすぐ横にある、この鉄格子は何だ。
鉄格子、鉄格子ってことは。
助け、助けを呼ばないと。
ぐるぐると頭がパニックになる。
「ソーマーっ!!」
一番先に浮かんだ人物だ。
「どうしたっ、セイナ!?」
驚くべき速さでドアを開けて入ってくるソーマ。
「助けてっ…」
思考がまとまらないまま助けを求めた。
よく考えもせずに。
私と目を合わせ、状況を理解したのか彼は穏やかに微笑む。
「あぁ…起きたんだ?」
「え──?」
「良かった。気分はどう?悪くない?」
鉄格子ごしで紡がれる言葉の意味が分からない。
でも、表情を変えない辺り危険はないらしい。
おかしい。
何もかもが。
だってそんなの、
「これ、ソーマが…?」
やったみたいじゃない。
「そうだよ。俺がやった」
またにこっと笑ってこちらに歩いてくる。
「初めからこうしてれば良かったんだよ。セイナが逃げないように、閉じ込めて。二度と危ない目に遭わないように」
「どういうっ…」
「だって、俺がずっと一緒にいるのはどう考えても難しいんだよ。だからこうしてればセイナは外に出られない。大丈夫、トイレとかお風呂のときは出してあげるし、食事も差し入れるよ」
ずっと一緒だ、と。
冷や汗をかいて、勢いよく起き上がった。
嫌な、夢。
部屋のオレンジの灯りに少しほっとする。
しかし、辺りを見回して言葉を失った。
自分のすぐ横にある、この鉄格子は何だ。
鉄格子、鉄格子ってことは。
助け、助けを呼ばないと。
ぐるぐると頭がパニックになる。
「ソーマーっ!!」
一番先に浮かんだ人物だ。
「どうしたっ、セイナ!?」
驚くべき速さでドアを開けて入ってくるソーマ。
「助けてっ…」
思考がまとまらないまま助けを求めた。
よく考えもせずに。
私と目を合わせ、状況を理解したのか彼は穏やかに微笑む。
「あぁ…起きたんだ?」
「え──?」
「良かった。気分はどう?悪くない?」
鉄格子ごしで紡がれる言葉の意味が分からない。
でも、表情を変えない辺り危険はないらしい。
おかしい。
何もかもが。
だってそんなの、
「これ、ソーマが…?」
やったみたいじゃない。
「そうだよ。俺がやった」
またにこっと笑ってこちらに歩いてくる。
「初めからこうしてれば良かったんだよ。セイナが逃げないように、閉じ込めて。二度と危ない目に遭わないように」
「どういうっ…」
「だって、俺がずっと一緒にいるのはどう考えても難しいんだよ。だからこうしてればセイナは外に出られない。大丈夫、トイレとかお風呂のときは出してあげるし、食事も差し入れるよ」
ずっと一緒だ、と。