【短編】七階から、君を。
***
次の日の朝。
イツキが何も言わずに合宿に行くであろうことは分かっていた。
彼が目を覚ます前に服を着替え、朝食を作る。
作るなんて言葉は相応しくない献立、だけれど。
スクランブルエッグとウインナーをお皿に盛り付け、ケチャップとレタスなんかを添える。
トーストは今焼いている最中だし、イツキの好きなホットチョコレートを淹れる。
今日は特別にイツキスペシャルにしてあげよう。
きっと何か心配してくれてるんだ、あの子は。
板チョコを砕いて湯煎して、カップに入れる。
イツキは濃厚なチョコオンリーのやつより、ミルクを垂らした方が好きだから。
ちなみに少しキャラメルソースを混ぜるのだけは譲らない。
チン、とトースターが鳴った。
お皿にトーストを乗せながら、そういえば、どうしてたまにトースターとか洗濯機が呼んでるって言うのだろうかな、とどうでも良いことが頭に浮かんだ。
次は、ヨーグルト。
プレーンのヨーグルトをイツキ用の赤いカフェボウルに入れる。
三つの小皿に無花果とキウイと桃のジャムを。
イツキはこれくらいは絶対食べる。
よし。一応完成かな。
「…セイナ?」
イツキが驚いたような顔で入って来た。
「おはよう」
イツキは気まずそうに目を逸らしてから、テーブルの上を指差した。
「これ、お前が?」
「お前、じゃない」
「セイナはセイナだろ」
「セイナは良いけどお前はダメ」
いつも通りのやりとりに頬が緩む。
「…ありがと」
照れながらのお礼に嬉しくなった。
「ううん…食べよ」
二人で席について食べるご飯は、美味しい。
次の日の朝。
イツキが何も言わずに合宿に行くであろうことは分かっていた。
彼が目を覚ます前に服を着替え、朝食を作る。
作るなんて言葉は相応しくない献立、だけれど。
スクランブルエッグとウインナーをお皿に盛り付け、ケチャップとレタスなんかを添える。
トーストは今焼いている最中だし、イツキの好きなホットチョコレートを淹れる。
今日は特別にイツキスペシャルにしてあげよう。
きっと何か心配してくれてるんだ、あの子は。
板チョコを砕いて湯煎して、カップに入れる。
イツキは濃厚なチョコオンリーのやつより、ミルクを垂らした方が好きだから。
ちなみに少しキャラメルソースを混ぜるのだけは譲らない。
チン、とトースターが鳴った。
お皿にトーストを乗せながら、そういえば、どうしてたまにトースターとか洗濯機が呼んでるって言うのだろうかな、とどうでも良いことが頭に浮かんだ。
次は、ヨーグルト。
プレーンのヨーグルトをイツキ用の赤いカフェボウルに入れる。
三つの小皿に無花果とキウイと桃のジャムを。
イツキはこれくらいは絶対食べる。
よし。一応完成かな。
「…セイナ?」
イツキが驚いたような顔で入って来た。
「おはよう」
イツキは気まずそうに目を逸らしてから、テーブルの上を指差した。
「これ、お前が?」
「お前、じゃない」
「セイナはセイナだろ」
「セイナは良いけどお前はダメ」
いつも通りのやりとりに頬が緩む。
「…ありがと」
照れながらのお礼に嬉しくなった。
「ううん…食べよ」
二人で席について食べるご飯は、美味しい。