桜の木の下に【完】

真相


「ごめんなさい!」


加菜恵さんは開口一番にそう謝った。

私たちは訳もわからずに困惑し、早菜恵さんが慌てて彼女の隣に寄った。


「お姉ちゃん何してるの!」

「ごめんなさい…ごめんなさい……」

「謝ってないでちゃんと説明して!」


早菜恵さんが加菜恵さんの肩を掴んで顔を上げさせると、目が真っ赤に腫れていた。

顔を俯かせて先に待ってこの場に座ってたから気がつかなかった。

夜通し泣いたようで、目の下には隈がある。


「うん…うん……」


妹に強く言われて何度も頷きながら、溢れそうになる涙を手で押さえていた。

私たちは気長に待ち、彼女が落ち着くのを待った。


「………悠斗くんについてお話があります」


絞り出したような声は震え、ぎゅっと膝の上に握られた手も白くなっていた。


「明月の供給者は…悠斗くんなんです」


その言葉に弟たちはさっと顔色を蒼白にさせた。信じられない、とその顔は言っているけど、加菜恵さんが嘘をつくような人ではないと知っているから、なおさら血の気が引いているのかもしれない。

加菜恵さんはそんな彼らを見て、話していくうちにその目にだんだんと力を宿していった。
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