桜の木の下に【完】

「でもどうやって?」


カッコいい感じで終わりそうだったけど、私がそんな直球を投げたら誰も打てなくて、コロコロとそこら辺に転がっていった。


「………それは今からじっくりと煮詰める必要がある」

「私が投げたのはじゃがいもじゃないんだけどな…それなら煮詰めないで早く揚げちゃってよ」

「おまえふざけたこと抜かしてんじゃねーよ。笑えないから」

「だから、揚げちゃえばいいんだよ」

「は?」

「明月に道真さんの意識をあげちゃえばいいじゃん。仕組みはわからないけど、明月の中に取り込まれれば実体を持つんでしょ?そうすれば…えっと、その、精神の中で…あんなことやこんなことを……」

「わかったからそれ以上言わなくていい。若干二名ほど悶絶してるから」

「ええっ!?」

「まあ、ナイスだぜ、のの。それで行こう」


誰!?誰!?と探してたから、里桜の最後の言葉は私には届かなかった。

一人はお父ちゃんなのはわかったんだけど、もう一人は?もう一人は!?

早菜恵さんたちは二人して気まずく顔をそらし合ってるし、加菜恵さんは…絶対違うし、健冶さんは何か考え事をしてるときの遠い目をしてるし、直弥さんはそもそもグラサンじゃん!

もう、なんかめっちゃ恥ずかしいんですけど!

それにいっこうに誰とも目が合わないんですけど!

ねえ、もう一人はーーっ!!!!
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