桜の木の下に【完】
「穂波、菊池、花岡。呼ばれた者は前に出よ」
「……やっぱり呼ばれたわね」
加菜恵さんはため息を吐きながら立ち上がり、言われた通りに前に出た。
穂波、菊池、花岡。
どの家も探知に優れた家系だ。幻獣の追跡によく遣われる。
「三家に占ってもらう。頭領の手を煩わずとも、ここで始末をつける。上位から参られよ」
呼ばれた三人と重臣たちは別室に移動してしまった。加菜恵さんがちらりと俺を見たけど、見つめ返して俺は見送った。
俺の順番は当分来そうにない。俺は下位だ。
偉いやつらはさっさと終わらせて帰るつもりだろう。それか、何か怪しい結果が出た場合はその後にそういう結果になった者に罪をなすり付けるか。
どこの世界も汚い考えを持つ者は後をたたない。