桜の木の下に【完】
あたしはあの日、外にいる間の三人を監視していた。
学校にいる間も、買い物をしていた間も。
その帰り道に襲われていたときも、黙って静かに監視していた。
依頼はのっちの護衛だけど、あの二人は含まれていない。本当にのっちが危なくなったときにだけ手出しをするように言われていた。
理由はあった。
それは柊家が明月に関わっている可能性があったこと。自作自演もあり得たのだ。
明月の指がのっちの首にかけられたとき飛び出そうとしたけど、白虎丸を向かわせることにした。
そう、あたしが大蛇と白虎丸を召喚したのだ。あたしの幻獣はマーキングさえしていれば、その幻獣を操れる能力を持っている。
でも、あの二体は思ってたよりも使えなかった。というより、使い手が悪かった。
幻獣は決して弱くない。弱かったのは使い手だ。上手く力の浪費を抑えられなくて健冶は力尽きた。
直弥はもともと弱かった。ただ、それだけだ。
影で経緯を見ていると、悠斗が戻ってきた。悠斗はたぶん、あたしよりも強い。技にも長けている。あの人の監視役も楽だろうね。
でも、やっぱり素人だった。
のっちが怪我を負った。
そこであたしが登場した。