桜の木の下に【完】
*ののside*
桜の木の下……
桜が咲いていたときは、散々歩き回ってそれらしい木を探した。
でも、わかるわけがなかった。
季節は流れて夏となり、どの木が桜なのかの見分けがつかなくなってしまった。
家の近くの木に違いないと思って暑い中探していたけど、熱中症になりそうだからやめて、と神楽に止められた。
お母ちゃんの姿をした幻獣も夢に出なくなったし、手がかりはない。
かといって、お父ちゃんに聞く勇気もタイミングもなかった。お父ちゃんは明月を追ってばかりで全然帰って来ないし。