プレゼント
美樹＆俊彰
イルミネーションが輝き、にわかに賑わう11月。


今日も私は、デートのドタキャンをくらった。


「……今日も会えないの？」
スマホ片手に立ちつくしている私は、きっと周りの人から見ると滑稽だろう。


『悪い、急遽仕事になった。』
電話の主、早野 裕也の冷めた声が聞こえる。


「この前もそうだったね……。久しぶりに会えるから楽しみにしてたのに……。」


そう、前回のデートから早３ヶ月。


ホテル勤務の裕也と、ケーキ屋勤務の私の休みが重なる事は、なかなかないから、とても楽しみだったのだけど……。


何回も何回も、勤務になったとドタキャンばかり。



本当は、仕事ではないのかもしれない……と、最近考えてばかりだった。


だって、そんなに仕事になる？


『仕方ないだろ……。俺みたいな新人は、すぐ押し付けられるんだよ。また今度埋め合わせするから。』
じゃ……と切られそうな電話に。


ついつい言ってしまった一言。


「埋め合わせっていつ？口先ばっかりじゃない……。」
言ってしまってから後悔しても、もう遅い。



はぁ……とタメ息をつかれ。


『もう学生じゃないんだから、面倒な事言うなよ。お前も社会人なんだから分かるだろ？じゃあな。もう仕事行くから。』
ピッと切られた音が耳に響いた。

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