プレゼント
「こら、サボってるなよ!」
不意に、お兄ちゃんが声をかけてきた。


「ちゃんとやってます~‼あ、お兄ちゃん良かったね。美樹さんフリーになって。」


「あぁ、やっと気兼ねしなくていいってもんだしな。俺も頑張るから、お前も頑張れよ!!」


はっ?
ビックリした顔で見上げると。


「え?だって拓海が好きなんだろ?バレバレだけど(笑)」
え~??????
バレないようにしてたのに?


「おま……アレで隠してたつもりか?」
と爆笑された。


「えっ、嘘‼もしや本人にもバレてる?」
サーっと顔が青ざめる。


「さぁ、そこまでは……。でもお前、今月でバイト終わりだろ?未練残さないように、告白して玉砕しろ!」


「えっ‼玉砕決定?」
泣きそうになると。


「だから知らないって。自分で確かめろよ。」


「お兄ちゃん、冷たい!美樹さんに言いつけてやる!」


「それは勘弁。」
ハハハ……と笑いながら、厨房に戻るお兄ちゃん。


うぅ~、やっぱりお兄ちゃんに美樹さんは、もったいない!


お兄ちゃんのバカ~‼‼‼


1人で地団駄を踏んでると、休憩に入る拓海さんが歩いてきた。


「お……お疲れ様です‼」
さっきのアレからで、どもってしまった……。


「おつかれ。」
そう言うと、かすかに笑ってくれたその顔を見ただけで、もう私はクラクラだ。


休憩室に行く拓海さんを見送りながら。


どうせ玉砕なら、当たって砕けてスッキリとバイトをやめよう。


よし‼
思い立ったが吉日。


今日の仕事終わりに言おう‼
私はそう決意すると、ホールに飛び出した。
< 17 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop