プレゼント
本当は、気づいてた。


裕也が自然消滅を狙っている事は。


大学の時から付き合っていた裕也とは、もう3年になる。


はじめは普通のラブラブカップルだったんだけどな……。


おかしくなってきたのは、就職活動の頃からだろうか……。


私は、バイトから正社員に昇格できて、なんの苦労もなかったけど。


裕也は、なかなか決まらなくて、イライラしているのが傍から見てても分かって……。


やっと決まったのは、卒業式の3日前。


喜ぶ私に、
「すぐ決まったお前に言われても嬉しくない。」
と言われた。


卒業してからは、全く分からない仕事内容を覚えるだけでも大変だろうと、会える日は、せめて安らげるようにと私はアレやコレやとしていたのだけど……。


それもシャクにさわったみたいで、いつも怒られていた。


デートをドタキャンされた日。


私は本当に偶然だったのだけど、見てしまったのだ。


綺麗な女の人と腕を組んで歩く裕也を……。


向こうは私に気づかずに、人混みの中に消えていった……。


それからだろうか。


嫌な事があると、カノンに来て、スイーツを食べて、心を落ち着かせるようになったのは……。


「お待たせ。」
カチャ……と、ティーセットが置かれて、顔をあげると。


「俊彰さん‼」
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