プレゼント
なぜかパティシエの俊彰さんが運んできてくれたようで……。


「すみません、忙しいのに!」
慌てて立ち上がろうとすると。


「全然。俺も休憩なんだ。せっかくだから、一緒に食べようかなって思って。お邪魔しても良い?」
人懐こそうな笑顔で言われたら、断れるわけなんかない。


「はい、私で良ければ。」


向かい合わせに座りながら、私はスノードームにフォークを入れる。


一口、口に入れると、優しいクリームと甘酸っぱいイチゴがとろけていく。


ポロッ……と涙が零れた。


向かいでコーヒーを飲む俊彰さんが、
「頑張ったんだね。偉かったね……」
と、私の頭をナデナデしてくれる。


いつも、そう。


私が1人でケーキを食べに来ると、向かいに来て頭をナデてくれる俊彰さん。


そうされると元気が出てくる私は、きっとヒドイ人間だ。


女の人とデートしてる裕也の事、悪くなんか言えない……。


私も同じだ。


「私は偉くないです……。ズルイんです……。」


更にポロポロ零れる涙を止められず。


でも俊彰さんは、
「本当にズルイ人は、それを認めないんだよ。俺みたいにね」
笑いながら、頭をナデてくれていた。
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