プレゼント
それからの毎日は、とても慌ただしかった。


なぜなら、クリスマスに向けてケーキの予約に材料追加の発注。


あっという間に1日が過ぎていく。


今日も最後の掃除を終えると、もう10時をまわっていた。


「こんなに遅くまでゴメンね。帰りは俊彰くんに送らせるから。」
オーナーの奥さんの真奈さんが言ってきた。


「え、そんな大丈夫ですよ!俊彰さんだって疲れてるのに、申し訳ないです‼」
そういう私に、
「なに言ってるの‼襲われたらどうするの‼」
と逆に怒られてしまった。


「私を襲う物好きな人なんて、いないですよ(笑)」
と言うと、さらに怒られた。


「美樹ちゃんは自分を分かってなさすぎ‼」
いやいや真奈さん、嫌ってほど分かってますよ(笑)


2人で、あ~でもないこ~でもないと話していたら、いつの間にか着替えた俊彰さんが隣に来て。


「美樹ちゃん、支度しておいで。一緒に帰ろう。」
と、ニコニコ顔で言われてしまい。


「……はい。」
と返事をすると、大人しく着替えにロッカールームに行く。


あまり待たせてはいけないと、慌てて着替えて出ていく。


「お待たせしました。」
コートを羽織っていくと、じゃあ行こうか……と言われ、2人で「お疲れ様でした。」と挨拶をしてカノンを出た。


まだまだ人通りの多いイルミネーションの街中を、俊彰さんと2人で歩いている。


特に会話はないのに、息苦しいどころか、ポカポカと心地いい事にビックリしている私がいて……。
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