金曜日の恋奏曲(ラプソディ)





「…すぐに赤くなる顔とか、相手を思いやってるがための優柔不断とか、好きなものの時はびっくりするくらいテンションが上がるところとか、気遣いが凄いとか、一生懸命考えてる様子とか…。」




須藤くんは、いくつでも浮かぶよ、と言った。





「全部だ。全部好きなんだ。」





真剣な瞳。





真っ直ぐな心が、私を貫く。





須藤くんは、傷ついたような笑顔で言った。





「…本当は、確実に振り向いてもらってから、絶対ノーとは言わせないような状況で告白するつもりだったんだけどな。
俺、超ダサいな。女々しい。」




私はもう堪えることが出来なかった。




溢れてきて、止まらない。




「…カッコ悪ぃー…」




そう言って下を向く須藤くんのシャツの端を、引っ張った。





ポロ、ポロポロポロ、と涙が次から次へ零れてくる。




「……ちょ、」




須藤くんがテンパったように私を見た。





「長谷川さん、泣かないで。ごめん。重かったよね。別に返事が欲しかった訳じゃない。長谷川には笑って欲しい。だから」
















「………………………………好き。」












あれだけ言えなかった言葉が、口をついて出てきた。








須藤くんの目が、まんまるに見開かれた。






涙は止まらない。






私の気持ちも。








「………………須藤くん、好き……!」






声が上ずった。





でもどうでもいい。




気にするのはそんなんじゃない。




須藤くんは、びっくりしたまま固まっている。






「…………初めて会ったときのこと、覚えてなくてごめんなさ、……でも……私、須藤くんが自習室に来るようになってから………ずっと…………。」






突っ変えて、上手く言えない。





しゃくりあげているせいか、息が吸えない。





涙を甲で拭った。





私、キャパオーバーだ。





でも、それでも、伝えなくちゃいけない言葉がある。






須藤くんの瞳が、さっきよりもっと切なく見えた。







「………長さは、須藤くんには、適わないかも…しれない、けどっ……わ、わ私……」






須藤くんが、私の手を握った。






ゆっくりでいいよ、て言ってるみたいに。






優しい温もりが私を包む。






大きく息を吸った。











「…………私もっ…………ずっとずっと、須藤くんが思ってるよりもっと…………須藤くんが、好き、です……!」












………………言った………………。










力が抜けた、その時、フワッと


























……須藤くんは、私を抱きしめた。










< 122 / 130 >

この作品をシェア

pagetop