金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
変わりたいって思うから
金曜日、りっちゃんはメモの内容を素直に受け止めて、私の傘を使って帰ったようだった。
さっき、ありがとうって折りたたみ傘を返された。
りっちゃんはやっぱり
「何の用事だったの?」
なんて、聞かない。
でも、その方が、より一層私の胸に訴えかける。
...多分、琴子今日は早く帰っちゃったんだ、くらいにしか思わなかったんだろう。
私がりっちゃんをどう思ってるかなんて、きっと考えもしない。
でも、私は確かに、自分がしたことだって自分自身の気持ちだって、誰よりもよく分かっているから。
『今年は梅雨明けが早い見通しです。』
朝のテレビで、気象予報士がそう告げた。
いくら私が、苦しんで、まだなお心の整理を出来ずにいようとも、
確実に、時は過ぎて季節は回っていくということ。