金曜日の恋奏曲(ラプソディ)


なんだろう、この気持ちはなんだろう。



そう考えるといつも、「恋」という単語が頭にぽんっと浮かぶ。



恋なら、したことがある。



小学校3年生の時、近所に住む一個上の男の子に初恋をした。



でも、その子は人気者で、いつも男の子にも女の子にも囲まれている人だったから、なんとなく自分とは不釣り合いな気がしてきて、気持ちも冷めてきちゃったんだっけ。



たしかあの時もこうやって体の奥の方が苦しくなる気持ちを感じたような気がする。



でも…でも、あの時は、その人の全てが知りたかったけど、今回は違う。



見てるだけで体が熱くなって奥の方がきゅってなるんだけど、でもこれ以上の距離になりたいとは思わないから。



向こうから見たら私なんてただの「金曜日自習しに来てる人」だし、私だけこんなに意識してるっていうのもおかしい。



私は人と話すのが苦手だけど、いつもうるさくて乱暴で意地悪な感じがする男の子は女の子より分からないから、いつもの生活でもあまり話せない。



だから、こうやって2時間も2人きりの状況に緊張しちゃってるだけだと思う。




だからね、これは「恋」じゃないの。




ただ、見てるだけで満足なの…。



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