金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
彼の好きな人
いいことと悪いことは、同じだけあってつりあっているらしい。
いいことが続けば、その後は下がる一方だし、それもしばらくすれば、また右肩上がり。
本当にそうなのかは、置いといて、そうだったとしたら、最近の私はちょっと幸せすぎた。
総合的に見て、いいことが多すぎた。
バランスを、とらなきゃいけなかったのかな?
今となってはもう分からないけれど、何故あの時の私は、このまま幸せな日々が続いていくと、純粋に信じていられたんだろう、と思う。
今日からまた、新しい一週間が始まる。
月曜日の朝っていうのは、一番切なくなる時かもしれない。
先週の金曜日のことを思い出して、心の中でワーキャーして、それから、今週末の金曜日に思いを馳せる。
学校に行くとはいえ、須藤くんに会える可能性はほぼ0%というのが現実だ。
こっちから会いに行くか、向こうが会いに来てくれない限り、偶然が私達を引き合わせてくれることはない。
そんなことが出来る、口実も私達にはない。
…仮に、もし、もし私達が恋人同士だったら。
口実なんてなくても偶然なんかに頼らなくても、相手に会いたいと思ったら会いに行けるんだろうな。
頬をうっすらと赤く上気させた私を鏡越しに見ながら、私は髪をまとめた。