金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
それから、短いようで長い一週間が過ぎた。
昨日は緊張でなかなか寝付けなかった。
私1人で意識しすぎなのは十分に分かってるんだけど…。
前は少し気になってる程度だったのに、あの日初めて、声を、話し方を、表情を知ってから、もっともっと他の須藤くんを知りたいって思っ
てしまう。
思ってしまったらもうあっという間に頬が火照る。
一週間ずっと、あの時の記憶が頭の中でループされていた。
私が本を落とすところがゆっくりスローモーションで、そしたら須藤くんが、優しく微笑んで本を私の手にそっと…。
…っていやいや、須藤くん笑ってはなかったよ。記憶を美化しすぎだよ私。
なんて、1人で何回も繰り返して。
その度にやっぱり火照る顔を、ぱたぱた仰いだりして。
そんなことをしているうちにあっという間に時は過ぎ金曜日の放課後になった。