金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
1つ咳払いをすると、梅田さんは、何かを決めたように口を開いた。
「…これは、言うか迷ってたんだけど…さ。」
突如としてトーンダウンした真面目な声音に、私は顔を上げる。
梅田さんは息を吸った。
「…実はあたし、もう告白しちゃった!」
「…えぇっ!」
私は驚いて後ずさった。
えっ…えぇ!?嘘!
「…え、で、どうだったの…?」
聞いてもいいことなのかと、小さめの声で尋ねると
「もちろん、ばっちりフラれました!」
あははー、と梅田さんはおかしそうに笑った。
そ、そんなあっさり…。
「…だ、大丈夫なの?」
私が加えて恐る恐る聞くと、梅田さんは首を傾けた。
「うーん、あたしも告う前は怖かったんだけど、終わったら意外に平気ぽい。」
あっけらかんとそういう梅田さんは、強がっているわけではなく、本当に大丈夫なようだ。
そ、そういうもんなのかな…?
すると、私の視線に気付いたのか、梅田さんは理由を口にした。
「なんでかってさ…フラれた理由に、納得できたからなんだ。薄々気付いてたし、どこか諦めてたのかな。」
梅田さんは、チラッと私を見て、聞きたい?というような目線を投げかけた…気がした。
私は無言で、目線だけで、肯定する。
なんだか、胸騒ぎがする。
…でも、知りたい。
梅田さんが、上を向いた。
「…悠太くん、ずっと前から好きな子がいるんだって。」
"須藤くんの、好きな人"
たったそれだけを表す言葉なのに、何でこんなにも破壊力が大きいのか…。
目の前が、真っ暗になった気がした。