君を振り向かせる方法
「零ー。また寝てたの?」
「ん…。また夢みた………。」
寝る前に立てた教科書は筆箱と仲良く床に散らばっていて、それを拾う私の親友。
槇田 彩華(マキタサイカ)。
隣に並ぶのが嫌になるくらい抜群なスタイルの持ち主。
そんな彼女はもちろん、男子からの人気はもの凄く高い。
突っ伏していた上半身を起こし自分の体をみてがっかりする。
そんな私は、成塚 零(ナリヅカレイ)。
趣味はお菓子作り、特技はバスケ。
ちょっと男勝りな中学二年生の女の子である。
「起きたなら自分で拾いなさいよ!」
「あっ、ごめん。ありがとう」
こんな会話は日常といってもいいくらいな感じで、最近は適当に謝って終わる。
「そう言えば………さっきの授業、英語だったでしょ?
先生、めっちゃ零のことみてたからもしかしたら呼び出されるかもね!」
「さっきの時間英語だったの!?
あー、起きてれば良かった」
「とかいっていつも寝てるくせに」
彩華が私の頭を軽く小突いたそのとき、放送のスイッチが入る音がした。
あー、嫌な予感しかしない。
『二年二組、成塚 零。放課後必ず、教材準備室に来るように』
プチッと放送のスイッチが切れる音がして、その後クラス中に大きな笑い声が響いた。