君を振り向かせる方法
「零ー。放心状態nowですか?」
ダムダムというドリブルの音は私がついてるボールから発する音なのにどこか遠くで聞こえ、彩華の声すら遠く聞こえる。
これが放心状態なのかなぁ……。
フワフワする気持ちの中チラリと時計を見る。
現在5時45分。
部活をしている私はもちろん体育館で練習をしている。
大好きなバスケ。いつもならバスケをしているときは何も頭に入らないくらいなのに、
……………今日は違う。
一時間ちょっと前にみた泰火の笑顔が私の脳裏に深く焼き付いて、大好きなバスケでさえ集中できない。
恋する乙女ってこういうこと?
「零、あんたキャプテンでしょ?指示だしてくんなきゃ練習が進まないんだけど。」
フワフワしていた私の頭には彩華によって放たれたボールが的中し、その痛みにより一時的に我に返れた私。
ヤバい、ヤバい。集中しなきゃ。
「スリーポイント50本決めー」
指示をだしてから、パチンと自分の頬を叩き気合いを入れる。
「集中しなきゃ、でしょ」
自分に言い聞かせ、1人頷きボールをリングへと放った。