君を振り向かせる方法
「零、話し聞かせろ」
練習が終わり、モップをかけているとすぐさま飛びついてきた彩華。
「えっ、なにを?」
「とぼけちゃだめ。準備室でなにがあった。」
私がかけていたモップの上に仁王立ちし、見下ろしてくる彩華。
威圧感ほんとにやばいっす。
「な、なんもないって」
泰火のことはまだ誰にも話したことはなくて、だからいくら彩華でもいいずらい。
本当は彩華だけは話したい。
だけど、それを聞いて重いとか言われるのが怖くて話したくないって自分のいるの。
「ねぇ零。零さ私に話してないことあるよね?」
「え、え?」
そんなとき突然、彩華の顔が険しくなって私も同様に顔を歪める。
少し間をおく彩華。
何を言われるのかドキドキして、うまく呼吸ができない。
そんな私にそっと彩華が耳元で囁いた言葉。
「一年の青柳のこと。」
それは私の心臓を止めてくれる言葉だった。