ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました
「えっ、彼の強力であろう呪いを司祭様に解けるので?」
「ええ、解けるわ。まあ、強力だから、司祭クラスじゃなくて、王都にいる司教クラスに頼まなくちゃならないかもだけど。王都まで一週間以上かかるじゃない、待てないわ。家がゴミ屋敷となりもうめんどくさくなって私が全てを燃やしてしまう前に、半日でいける隣町の司祭に頼んでみなさい」
家事放棄どころか、家事そのものを一瞬にして灰にさせる術をお持ちの女帝さまより授かったありがたい正論を早速実行しようにも。
「母さん、足が思うように……」
「体重激減にくわえて、しばらく寝たきり状態なんだから、そうもなるわね」
ぷはーっと、ベッドから雪崩落ちる私に煙を吹きかける母。首根っこつかまれ、ベッドに戻された。
「元に戻るまで、そのままね。言っておくけど、あんた一人で行きなさいよ。森林歩くなんて肌に傷がついて、足に変な筋肉つくようなこと、したくないもの。だから、十分に休んでから行きなさい。いっぱい食べてね」
かぼちゃの煮物がいい具合になったか、母が一度部屋を退室し、お皿いっぱいに盛られたかぼちゃの煮物と、白米を持ってきてくれた。
ああ、母の料理だ。料理を覚えてからはほとんど私が作っていたけど、やはり母の料理はーー
「まずいのに、感動してしまうなんて」
形がなくなるほど砂糖のみで煮込まれた、もはや砂糖そのものを白米で中和し、胃に流し込む。この料理が嫌だから、10歳にして料理をマスターしたんだったなぁと思い返し、いろんな意味で感動中。
「はやく、元に戻りなさいね。でないと、明日の朝もカボチャよ」
なんてことを言われたので、早急に良くならねばいけなくなった。