ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました
「……、嫁に貰う」
さっと、婚姻届を出してきた。
「おかしらあああぁ!」
「やめましょーって!女となれば、誰かれ構わず婚姻届出すの!」
「……、お付き合いから」
「だから、おかしらあああぁ!」
「健全さ捨てていいんですよ!俺ら、盗賊!金目の物置いてけーから、女置いてけーも合法的に言っていい悪党代表なんですから!」
取り巻き二人に諭されるお頭だった。
「あの、すみません。私には心に決めた人がいまして。別の方とのお付き合いは遠慮しています」
「……」
「おお、おかしらあああぁ!」
「ショックのあまり、雑草を抜き始めないで下さいよ!ここは、てめえの男の前で犯してやんよ的なテイストでいきましょうって!ーーおい、女ぁ!お頭の豆腐メンタルしかも絹豆腐な心に傷をつけやがって!」
「ただで帰れると思うなよ!」
今にも向かって来そうだったため、炎を出す。あ、呪文言うの忘れた。
「近づかないでもらえますか。この悪魔の炎は、全てを火傷させます」
大概の人は魔法使いと聞いただけで、力の差があると身震いするものだが。
「……、ペアルック」
「おかしらああぁ!」
「さすがです!剣に炎を纏わせるなんて!マジリスペクトです!」
私が身震いする結果となってしまった。
まさか同じ魔法使いにして、ペアルックな炎を操る相手だったとは!
「ギャハハ、女ぁ!怪我したくなかったら、大人しくこの婚姻届にサインすることだなあぁ!」
「そしたら俺たちの姐さんとして、丁重に扱ってやんよおぉ!」
「……、結婚式は海の見えるチャペル」
幸せな結婚式まで想像されている!?
このままでは、幸せ家族計画まで想像されてしまう。逃げようかと思えど、はっとする。
「ま、待って下さい!私に惚れたら火傷します!」
じゃない!火を出しているから混同してしまった!
盗賊たちもポカーン後の、抱腹絶倒している。
「ギャハハ、おかしらああぁは火傷ごときに屈しねえよ!」
「絹豆腐メンタルだが、嫁のためなら木綿豆腐にもなれるお方だぜえぇ!」
「……、燃え上がる愛ほどいい」
訂正しようとした矢先、おかしらああぁの巨体がびくんと震えた。
は?としているうちに卒倒。首を押さえながら、泡を吹き始める。