ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました
「それは、俺の台詞だ。俺を頼ればいいのに。君はいつも一人で抱えて、奔走どころか猪突猛進をして。俺がどれだけ心配したことか」
「クラビスさん……」
「君の居場所はいつでも鏡を使えば分かるし、姿も確認出来るけど、手の届く距離にいなければ、心休まらない」
さらりと、いつでもストーカー宣言されてしまったけど、彼が本当に私の身を案じていてくれたことはよく分かる。
「ごめんなさい」
「……」
鎖が飴のように溶け、杖となる。拘束具がなくなり、あるのは彼の手。私の手を握ってくれている。
「鎖じゃなくて、いいんですか」
「鎖よりも、君はこの方がどこにも行かないと気づいた」
強固な束縛よりも、温かな手のひらは確かに離れたくないものだった。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
笑えば、笑い返してくれるそんな仲。
そんな仲はいつまでも、続くと思っていた。
だから、全部。
私が、悪いんだ。