ヒーロー(ヤンデレ)が死亡しました

「私が、私が必ず、あなたを見えるようになりますから!」

求めるでなく自ら掴みにいく決意表明。自然と声が上がった。

虚をつかれたような彼に構わず、力いっぱい続けた。

「サクスくんが出来るなら、他の人にだって!あなたの声を聞いて、感じることが出来るようにします!何としてでも!」

説得力もない、根拠さえもない。けど、必ずやってみせると誓う。

「任せて下さい!あなたがそばにいてくれる限り、私は絶対に成し遂げてみせます!だって!」

あなたを愛し続けている自信があるのだから!

自然と出来た握り拳に、手を添えられた。

肩を震わせ笑う彼。

「敵わないなぁ、本当に。ありとあらゆるものに強者と言われ、敵なしとも称されたのに。君の前じゃ形無しになる」

指と指が絡み合う繋ぎ方。額を合わせて、必ずだよと言われた。

「ずっとずっと、そばにいるから」

「はい」

最後の涙が流れる。
私も、彼も。微笑み、泣いた。

サクスくんの体が、そのまま力を失い、膝をつく。

「泣き虫になりますね」

恋人が出来てからというもの、よく泣くようになった。それ以上に笑うことも多いけど。

泣き濡れたサクスくんの頬を拭く。
その拍子に彼がーーサクスくんが目を覚ました。

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