〜あたしの彼は擬似彼氏〜



やっぱりあの話本当だったんだ。







それに真剣に洋也のこと好きなのが

こっちにまで伝わってきた。










「ごめん、林。泣かして。

今まで気づけなくてごめん。

こんな俺のことそんな好きでいてくれて

ほんと、ありがとな。

でも俺、お前の気持ち答えらんねーわ。」








苦しそうな顔をしながら

洋也がそう告げるとれいなちゃんは





「うん。わかってる。わかってたよ。」






と言って走って行ってしまった。







あたしは必死にれいなちゃんを

追いかけた。






「れいなちゃん!待って、、、!」






「なに。」






すっごい嫌な目で振り返るれいなちゃん。

きっとあたしのこと大っ嫌いなんだろうな。






「あたし、華蓮ちゃんなんて

大っ嫌いだから。



高校なってフラッと現れたくせして

桐島くんとすぐ付き合って。



あんたなんかよりあたしの方が

ずっと桐島くんのこと好きだったのに!!」







あたしはれいなちゃんにゆっくり

近づきながら






「れいなちゃんが洋也のこと

真剣に好きなのよーく分かった。



れいなちゃんが洋也のこと

あたしよりもっと前から好きなのも

分かるしあたしのこと嫌いなのも分かる。





でもね、あたしれいなちゃんに

洋也のこと思う気持ちが負ける気しない。





洋也はあたしのことを変えてくれた

大事な人なの。

あたしが傷つけても見放さずに

ずっと側で笑っててくれた人なの。





何よりも大事であたしの中で

どんどん大きい存在になっていってるの。





そりゃれいなちゃんの方が

好きな歴は長いかもしれない。




でもそんなに歴って大事?

それよりもどんなに

濃い時間を過ごしたかの方があたしには

重要だと思うの。






ごめんね、あたし。性格悪くて。

でもれいなちゃんにあたしの

本気で洋也のこと思う気持ち

知ってもらいたかったの。」







あー、なんてあたしは性格が

悪いのだろうか。ほんとにごめん。







「、、、、、なーんかさ、


スッキリした!今まで桐島くんに

ずっと告白出来ないでいたし。



それに桐島くん、華蓮ちゃんに

そこまで思われてるって幸せだよ。




あたしも華蓮ちゃんみたいに

最高の相手見つけれるように頑張る。」








海を見ながらそう言うれいなちゃんの

横顔はすごく、すごく綺麗だった。






きっとれいなちゃんの他にも

洋也のことをまだ好きな子はたくさん

いるはず。





その子たちの分まで

あたしは幸せにならなきゃ。





そして洋也を幸せにしなきゃ。








「ありがとう、れいなちゃん。」







あたしがそう言うと

れいなちゃんは

笑顔で海の家へと戻って行った。









< 106 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop