あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】

「いえ、私がお願いしたのですから。仕事で疲れているのにごめんなさい。あの、どうぞ」


「じゃあ、お邪魔するね」


　小林さんは私の部屋のソファに座ると、フッと息を吐いた。林さんがいるだけでフワッと暖かい空気に包まれる気がした。こうして傍にいるだけで私がどれだけ小林さんのことを好きだと思っているのかを改めて思う。それなのに、今から私が口にするのは…。一番苦しい言葉だった。このまま、何も言わずにいれたらいいのとには思うけど、そんなことは出来ない。



「小林さん。夕食は？」


「うん。さすがに会社で少し食べてきた」

　

　考えてみれば夜中の11時を過ぎているのだから、既に食事は終わっているのも当たり前なのだけど、そこで会話が止まってしまった。私は何か言わないといけないと思い、視線を逸らすと、そこにはコーヒーメーカーがあった。


「そうですか。じゃあ、コーヒーは？それともビールの方がいいですか？」


「何もいらないから、美羽ちゃんも座ろうか」


「ゆっくりでいいから、美羽ちゃんの話を聞かせて。俺に大事な話があるんだよね」



「…」


　小林さんはそう言いながら小林さんはソファの横に座るように私を促した。緊張する私が小林さんの横に座ると、小林さんの視線が私を捉え、優しく抱きしめられたのだった。


　私は小林さんに抱きしめられたまま、唇を噛みしめた。私は自分の置かれた状況をどう伝えればいいのだろうか？