あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
店を出たのはそれからしばらくしてからだった。ビールも最初の一杯だけで、食事も少しだけ…。研究室での食事とあまり変わらなかった。違うのは料理が温かかったのと、目の前にパソコンが無いので気持ちゆっくり出来たということだけだった。『高い料理なら割り勘だからな』と言いながらも払の分も払ってくれて店を出ると、中垣先輩は研究所に視線を向ける。まさかと思ったけど、そのまさかだった。
「俺はまた研究室に戻るけど、坂上は帰るだろ」
「この時間からですか?」
「ああ。この頃、早く帰っていたから進みが遅い。それに、今日中に結果を知りたいものもある」
この時間から研究室に帰るという中垣先輩に呆れはするものの、らしいと思う私もいる。昨日の今日だからか、精神的に疲れていて、今から研究所に戻る気力はなかった。
「明日少し早く出てきます」
「普通でいい。俺が寝てたら起こさないように」
「そろそろ自分のマンションに帰ってくださいね」
「分かっている」
そういうと口うるさい私から逃げるように中垣先輩は研究所の方に戻っていった。そんな後ろ姿を見ながら私は溜め息を零した。研究バカって中垣先輩のことをいうのだと改めて思いながら私は駅に向かって歩き出した。駅の改札を抜け、電車に乗り込むとさっきの中垣先輩の言葉が急に思い出される。
『過去と未来。確かに未来は大事だと思うけど、過去も大事にしないと思ったような未来も来ないと思う』
この先に中垣先輩のお祖母さんに何かあったら、私は自分の性格を考えると絶対に後悔をする。あの時…私が行けばよかったって…絶対に私は後悔するだろう。
「俺はまた研究室に戻るけど、坂上は帰るだろ」
「この時間からですか?」
「ああ。この頃、早く帰っていたから進みが遅い。それに、今日中に結果を知りたいものもある」
この時間から研究室に帰るという中垣先輩に呆れはするものの、らしいと思う私もいる。昨日の今日だからか、精神的に疲れていて、今から研究所に戻る気力はなかった。
「明日少し早く出てきます」
「普通でいい。俺が寝てたら起こさないように」
「そろそろ自分のマンションに帰ってくださいね」
「分かっている」
そういうと口うるさい私から逃げるように中垣先輩は研究所の方に戻っていった。そんな後ろ姿を見ながら私は溜め息を零した。研究バカって中垣先輩のことをいうのだと改めて思いながら私は駅に向かって歩き出した。駅の改札を抜け、電車に乗り込むとさっきの中垣先輩の言葉が急に思い出される。
『過去と未来。確かに未来は大事だと思うけど、過去も大事にしないと思ったような未来も来ないと思う』
この先に中垣先輩のお祖母さんに何かあったら、私は自分の性格を考えると絶対に後悔をする。あの時…私が行けばよかったって…絶対に私は後悔するだろう。