あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 最初から上手くいくなんて思ってないけど、これだけの時間と労力を掛けての結果がこれでは泣きたくもなる。何か一つでも手がかりとなるようなデータを見つけないと先に進めない気がした。膨大な量のデータなのに、確実な効果を表す実績は足りない。どうも研究が上滑りしている気がする。


 これは長年研究してきた私の勘。
 でも、これは一つの考察に過ぎない


「もう少しで終わりますが、でも、なんかあまり成果はないように感じます。中垣先輩のデータと合わせても少し足りないような気もします」


 早急に見直しが必要だと思うのは私だけではないと思う。少なからず、中垣先輩も感じているだろう。でも、何をどう足していいのか分からない。


「足りないか?どのくらい足りないと思う?」


「どのくらいかと数値に表すのは難しいですが、この分だとまだ足りないのは確かです。先週の打ち合わせの時に考察していたデータの打ち込みが終わると少しは違うのではないかと思いますが、今のままでは先に進めません」

 
 研究というは結果が全て。実際に打ち込んでも足りないものは足りない。サンプルの選別をもう少しした方がいいのかもしれない。でも、サンプルは使い尽くしてしまっていた。


「わかった。とりあえず出来た分だけ送って」


「はい」


 先輩の言うとおりに打ち込みを終わらせた分を先輩のパソコンにデータを送る。すると、先輩はなにやら高速でキーボードを叩き出した。静かな研究室に激しくキーボードを叩く音だけが響き、私は静かに息を呑む。



「ちょっと休憩にする」


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