あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
カーテンから光が差しこまなくなっていると思ってはいたけど、時間は思ったよりも過ぎていて、夜の八時を過ぎていた。帰ってからだから軽く五時間くらいは一緒に昼寝していたことになる。確かに疲れていたし、気持ちも緩んでいたからと言い訳したくなるくらいによく寝た。
婚約したばかりの男と女がベッドに入って昼寝を楽しむというのも私と小林さんらしくていいのかもしれない。
「寝すぎですね」
「俺も、実は今日、かなり緊張してた。美羽ちゃんに振られるかもしれない覚悟をしていたからね。でも、これを付けてくれているってことはそれも回避されたってことだよね」
そう言って小林さんは私の左手の薬指を撫でた。そこには小林さんとの将来の約束の証が嵌っている。
「小林さんもですか?」
「当たり前。好きな女の子が俺から逃げようとしているのを繋ぎ留めれるかって、かなりのもんだよ。我ながらズルい事をしているという自覚もあるんだ。だから、かなり悩んだ」
「ズルい?」
「そうだよ。だって、フランス留学に行く美羽ちゃんの将来を指輪で縛るんだから」
「嬉しかったですよ」
「でも、男としては帰ってくるまで待つから安心して行って来いと言えたらいいけど、俺は絶対に美羽ちゃんを手放したくないから、そんな恰好を付けた言葉は言えなかった」
思いの裏に葛藤はある。それは私だけではないのかもしれない。
小林さんは真っ直ぐに自分の心をぶつけてくる。
そんな真摯な姿は愛しかった。
婚約したばかりの男と女がベッドに入って昼寝を楽しむというのも私と小林さんらしくていいのかもしれない。
「寝すぎですね」
「俺も、実は今日、かなり緊張してた。美羽ちゃんに振られるかもしれない覚悟をしていたからね。でも、これを付けてくれているってことはそれも回避されたってことだよね」
そう言って小林さんは私の左手の薬指を撫でた。そこには小林さんとの将来の約束の証が嵌っている。
「小林さんもですか?」
「当たり前。好きな女の子が俺から逃げようとしているのを繋ぎ留めれるかって、かなりのもんだよ。我ながらズルい事をしているという自覚もあるんだ。だから、かなり悩んだ」
「ズルい?」
「そうだよ。だって、フランス留学に行く美羽ちゃんの将来を指輪で縛るんだから」
「嬉しかったですよ」
「でも、男としては帰ってくるまで待つから安心して行って来いと言えたらいいけど、俺は絶対に美羽ちゃんを手放したくないから、そんな恰好を付けた言葉は言えなかった」
思いの裏に葛藤はある。それは私だけではないのかもしれない。
小林さんは真っ直ぐに自分の心をぶつけてくる。
そんな真摯な姿は愛しかった。