あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 小林さんの話は突飛過ぎる。私が言ったのはそこまでの意味ではなくて、帰りたくなくなるってことで…。まさか一緒に住むとか考えてもなかった。婚約したということはそういうことなのだろうか?好きになった人と付き合うのも、婚約をしたのももちろん初めてだから、私はどんな反応をしたらいいのだろうか?


「どうしてそんな話になるのですか?」


「美羽ちゃんからすれば急にかもしれないけど、俺はずっと考えていた。美羽ちゃんがフランスに行くまでの時間を俺にくれないかな。美羽ちゃんも仕事忙しいのも知っているし、俺も半端なく忙しい。だから、一緒に住むことが出来れば少しでも一緒の時間を持つことが出来る。」


 フランスに行くとなると本当に残された時間は短いだろう。独身の転勤扱いだから、国内なら一週間くらいで移動するところをフランスだからということで少しは長めだと思うけど、それでも二週間くらいが限度。私と小林さんに残された時間は短い。


「考えさせて貰えますか?」

「うん。もちろん、でも、もしも一緒に住まないとしても出来るだけ俺との時間を取るようにはして欲しい」

「はい」

 一緒に居ることの意味を私は考え出す時間になっていた。


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