あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
あの時間に研究室を出たから小林さんに朝ご飯を作ってあげられるのだけど、それでも研究のきりは悪いところだったから、もう少し研究室に居たかった。
「彼は優しいな」
「そうですね。優しいと思います。でも、本当に分かりにくい人で、ほとんど笑わないし、口を開けば厳しいことばかり。『鬼』って思ったこともありますもの」
「俺も…仕事頑張る」
「小林さんは仕事頑張っていると思いますが」
「もっとって言う意味。俺ももう少し頑張らないといけないと思う」
「次は~~~~」
そんな話をしていると、私が降りる駅に付いてしまった。電車の中のアナウンスが響き、小林さんと私は無言で見つめあっていた。小林さんと一緒にいると時間が過ぎるのが早い。もっと時間がゆっくり進めばいいのにと思うのに、無情にも時間は過ぎてしまう。
「行ってきます」
「うん。気を付けて」
昨日と同じようにホームに降りると自分が降りた電車を見る。私の後から後から人が降りてくるから立ち止まるわけにはいかない。それでも私は小林さんの姿を探してしまう。降りる人を吐きだしてしまった電車は静かに動きだし、私の視界に微かに映っていた小林さんの姿を見せなくさせる。
私は流れに身を任せながら小林さんの乗る電車を見送ったのだった。
「彼は優しいな」
「そうですね。優しいと思います。でも、本当に分かりにくい人で、ほとんど笑わないし、口を開けば厳しいことばかり。『鬼』って思ったこともありますもの」
「俺も…仕事頑張る」
「小林さんは仕事頑張っていると思いますが」
「もっとって言う意味。俺ももう少し頑張らないといけないと思う」
「次は~~~~」
そんな話をしていると、私が降りる駅に付いてしまった。電車の中のアナウンスが響き、小林さんと私は無言で見つめあっていた。小林さんと一緒にいると時間が過ぎるのが早い。もっと時間がゆっくり進めばいいのにと思うのに、無情にも時間は過ぎてしまう。
「行ってきます」
「うん。気を付けて」
昨日と同じようにホームに降りると自分が降りた電車を見る。私の後から後から人が降りてくるから立ち止まるわけにはいかない。それでも私は小林さんの姿を探してしまう。降りる人を吐きだしてしまった電車は静かに動きだし、私の視界に微かに映っていた小林さんの姿を見せなくさせる。
私は流れに身を任せながら小林さんの乗る電車を見送ったのだった。