あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
恋愛にオープンなフランスに住んでいると街角のあちらこちらで繰り広げられる恋人たちの甘い情景風を見てきた私は少し感覚がおかしくなっているみたいで、頭で考えるよりも先に身体が動いてしまった。つい、勢いで抱きついてしまった。
日本に居た時に、今のように私から小林さんに抱きつくことなんか殆どないし、それも一目のある空港の雑踏の中というのはもっとありえない。でも、大好きな人に会えた喜びが身体の隅々まで流れると自分の意思なんか何もなくて、私は小林さんに引き寄せられていた。
「ごめんなさい。私。あの。その」
慌てる私を見て、小林さんはクスクス笑うと、少し小首を傾げて私の顔を覗き込んだ。サラッと零れる髪を軽くかき上げるとニッコリと笑う。
「美羽ちゃんに抱きつかれて、俺は光栄だけどね。俺、マジで会いたかったから」
小林さんはさっきまで驚いて赤く顔を染めていたのに、今は余裕たっぷりで焦るのは私ばかり。なんかズルい。
「視察ってことは今から仕事なんですか?」
とりあえず話を変えようと思って話しかけると、綺麗な笑顔で返される。
「美羽ちゃんに会うのが仕事かな」
「え?」
「一番の仕事は美羽ちゃんと会うこと。二番目の仕事は海外支社の視察。これは帰国したらきちんとレポートを提出しないといけないんだ。だから、美羽ちゃんも協力して、レポートの作成は頑張らないと、ここに来た意味を出さないといけないから」
日本に居た時に、今のように私から小林さんに抱きつくことなんか殆どないし、それも一目のある空港の雑踏の中というのはもっとありえない。でも、大好きな人に会えた喜びが身体の隅々まで流れると自分の意思なんか何もなくて、私は小林さんに引き寄せられていた。
「ごめんなさい。私。あの。その」
慌てる私を見て、小林さんはクスクス笑うと、少し小首を傾げて私の顔を覗き込んだ。サラッと零れる髪を軽くかき上げるとニッコリと笑う。
「美羽ちゃんに抱きつかれて、俺は光栄だけどね。俺、マジで会いたかったから」
小林さんはさっきまで驚いて赤く顔を染めていたのに、今は余裕たっぷりで焦るのは私ばかり。なんかズルい。
「視察ってことは今から仕事なんですか?」
とりあえず話を変えようと思って話しかけると、綺麗な笑顔で返される。
「美羽ちゃんに会うのが仕事かな」
「え?」
「一番の仕事は美羽ちゃんと会うこと。二番目の仕事は海外支社の視察。これは帰国したらきちんとレポートを提出しないといけないんだ。だから、美羽ちゃんも協力して、レポートの作成は頑張らないと、ここに来た意味を出さないといけないから」