あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「美羽。好き。大好き。愛している。誰にも渡したくない」


「え?」

 小林さんの愛の言葉に一気に血が頭に上り、さっき以上にドキドキが止まらなかった。見上げると少し真面目な顔で私の顔を見つめ、そっと笑みを零す。そして、とっても楽しそうに見える。


「フランスで日本語の意味が分かる人なんかそんなにいないから、。美羽ちゃんに俺の気持ちを言っても誰にも分からないよね」


「私は分かるから恥ずかしいです。それに「す、すき」って言葉は分かる人もいるかもしれないし」


 英語のアイラブユーやジュテームほどポピュラーではないとは思うけど、「好き」も分かる人は居ると思う。そう思うと、嬉しいのに恥ずかしい。そっと、目線を逸らすと真っ直ぐな声が私に聞こえた。


「美羽ちゃんだけに分かればいいから他の人は関係ないんだよね。大声で叫びたいくらいに本当に美羽ちゃんに会いたかった。それなのに、美羽ちゃんは最初は喜んでくれたのに、今は全然俺に顔を見せてくれない。嬉しくない?会いたくなかった?俺だけがはしゃぎすぎ?」


 顔を見せないのではなくて私もあまりにも驚いて嬉しくて…。たくさんの気持ちが溢れてどうしていいか分からなくなっていた。言葉に出来ないだけで、こういう時は自分の不器用さが露呈される。小林さんは真っ直ぐに気持ちを見せてくれる。私はまだ、恋愛未経験歴の長さを引き摺っているのかもしれない。


「私もです。嬉しいです」


 そういうと、私の手は小林さんの手に包まれて、キュッと掴まれた。
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