あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「新婚旅行にキャルは乱入する気か?」


 後ろから声が聞こえて、振り向くと、そこにはキャルの旦那さんのロイさんが居た。ロイさんは身長が高くスマート。どこにでもあるシャツを着ているのに、綺麗な着こなしのせいかオートクチュールのシャツにすら見える。結婚式の時にあっただけだけど幸せに包まれているからか、目を引きつける人だった。


 そして、キャルが好きで堪らないと溢れている。


「美羽に会いたいだけよ。女の友情は大事なのよ」


「それなら日本に行けばいいだろ。新婚旅行に乱入するのはどうかと思う」


「乱入って。ひどいわ。私は美羽と会いたいだけなんだから」


「だから、キャルが日本に行けばいいって言ってるだろ。俺も日本に行ってみたいし、キャルが育ったところも見たいから、それでいいだろ」


「ありがと」


 二人の話を聞いていると微笑ましくなってきて、小林さんに会いたくなる。やはり結婚したばかりの初々しい感じが幸せだと教えてくれ、幸せなキャルを見て嬉しく思いながらも時間が迫っていた。


「そろそろ行かないと」


「そうね。気をつけてね」


「キャル。色々ありがとう。またフランスにも来るから、キャルも日本に来たら連絡してね。今度会えるのを楽しみにしている」


「電話もメールもするから」


「私も」


 私はキャルに抱き寄せられ、温もりを感じてから搭乗口に向かった。何度か振り返って見えなくなるまでずっと手を振ったのだった。
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