あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「美羽ちゃんじゃない本当に俺はダメなんだ。美羽ちゃんと離れたこの一年半だけど、本当に寂しかった。もちろん、留学が一年伸びたとしても、俺は待つつもりだった。でも、だからといって寂しくないわけではないよ。情けないけど俺をもう一人にしないで欲しい。俺はもう二度と美羽ちゃんを離せない」


 小林さんの言葉を聞きながら胸が熱くなっていく。私が寂しいと思ったように小林さんも寂しいと思ってくれていた。私が交換留学で寂しくならないようにと自分の気持ちを言うことなく頑張る私を後押ししてくれた。小林さんの言葉を聞きながら胸が熱くなっていった。


「ずっと。傍にいてもいいですか?」

「うん。居てくれないと困る」


 そういうと、小林さんはもう一度私の身体を抱き寄せ、静かに私の唇に自分の唇を重ねた。触れるだけの優しいキスに私はドキドキしてしまう。恋をしていると心がそう言っていた。


「今日は俺のマンションに泊まって、明日実家まで送るから。それでいい?」


「はい」


「今度一緒に住む時は美羽ちゃんと正式に結婚して籍を入れてからにしたいと思ってる。美羽ちゃんとの大事な結婚生活は流されるように始めるのではなく、きちんとした形で始めたい。それでもいい?」


「はい」


「実家に送った荷物はもういらないよ。住むところも家具も一緒に二人で選ぼう。俺たち、初めから何もかも始めよう」


 そう言ってもう一度抱き寄せた小林さんの胸の中で私は静かに頷いた。





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