あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
 真っ直ぐすぎる小林さんのお誘いだった。好きだから抱きたいというあまりにも真っ直ぐすぎる言葉が私の胸の奥に染みてくる。小林さんの思いに溺れてしまいそうだった。


「俺に溺れてよ。もっと、俺を好きになって…」

 
 そんな色香を纏う声を出すと小林さんは私の身体をギュッと抱きしめたのだった。腕の温もりはさっきとおなじはずなのに今は全く違う。あの初めての時に感じた身体を包む甘さに熱が止まらなくなり私は次第にどうしようもなくなってしまった。恥ずかしくて唇を噛みしめると、その体の強張りを解くかのように、唇が重ねられた。


「私も好き」


 優しく私の身体を小林さんの身体が包んでいる。シーツの上に零れた髪を優しく掴むと自分の口に近づけ唇を落とす。そしてサラサラと小林さんの指を髪が零れ落ちた。その流れる髪を見ながら小林さんは真剣な瞳で私を見つめた。その瞳の輝きに私はドキドキしながらも愛を感じずにはいられない。

「美羽」


 優しく名前を呼びながら、落とされる唇の甘さに目を閉じると、私は小林さんのことしか考えることが出来なくなっていた。


「愛している」


 その言葉だけで私は幸せだと思った。


 キスをしながらゆっくりと自分の肌が外気に晒されるのを感じ、額に頬に唇に。首筋に鎖骨に…優しい唇の感触を感じる。触れる度に熱が籠るのを感じながら私は小林さんに落ちていく。私を見つめる小林さんの瞳は甘く揺れていて、私が小林さんの首に腕を回して少し引き寄せた。優しさに包まれ、深いところでつながる愛が甘さに変わり、その甘さが苦しくなっては逃げようとするけど、小林さんの力強い腕の力で引き寄せられた。
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