あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「美羽ちゃん。誘ってる?もう一度啼きたいの?」


 そんなつもりじゃなかったから、ドキドキしてしまう。今日もかなり長い間啼かされたから、身体には力が入らないほどなのに、これ以上は無理と思いながらも小林さんに見つめられると身体の奥が熱くなる。でも、身体が動かない。指の一本も動かしたくないほどになっている。


「もう一度抱きたいけど、これ以上はお互いに社会人としてダメだよな。今、抱いたら二人して欠勤は間違いない」


「欠勤どころか今日は残業ですよ」


 こんな甘い時間も数時間もすれば、私も小林さんも仕事の中にあり、互いの立場で奮闘しないといけないだろう。高見主任のお蔭で今日もきっと残業は間違いない。それは私だけではない。


「急に現実に戻さないでよ。美羽ちゃんといる時は美羽ちゃんのことだけ考えていたいから。それと、下着はそんなに気にはならないけど、俺のために美羽ちゃんが選んでくれたって気持ちは嬉しい。でも、刺激は毎回は困る。俺の理性を簡単に崩すから」


 やっぱり小林さんは真っ直ぐで…。そんなところも小林さんらしい。あの勝負下着はその役割を果たしたのだろう。


「もうないです。同僚に勧められて買ったものなので」


「そっか。でも可愛かった」


 そういうとまた小林さんは私を抱き寄せた。現実に戻らないといけない少しの時間だけ私は小林さんに甘えることにする。私が小林さんを独占する。彼女という特権で思いっきり甘える。


 私は幸せを噛み締めていた。

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