君と出逢えたこと
「ゆきちゃん…ほんまにごめん!今どこ?そこまで行くから!」



トシくんはまだ会うつもりで居てくれたみたいだった。



「…におる」



声にならない声で答えた私。



「え?」



「まだ待ち合わせのパチンコ屋さんにおる。待ってたんやから…」

「マジで…ごめんな…俺…ほんまにすぐに行くから待ってて!」



そう言ってトシくんは電話を切った。



からかわれたんじゃ無かった…



良かった…



安心した…



バイト先から自転車で10分ほどの所に住んでると聞いてたからここまでは30分はかかるかなと思った私は車の中で待つ事にした。



それでも外が気になってアチコチ見回してるとトシくんらしき姿が駐車場に入ってくるのが見えた。



見間違いないかなと思いながらも車を降りてみた。



「ゆきちゃん!」



やっぱりトシくん……?



まだ10分くらいしか時間は過ぎてなかった。



「トシくん!まだ10分しか経ってないよ?」


「少しでも早く会って謝りたくてとばしてきた…ごめんなさい」



そう言って頭を下げたトシくんは汗だらけで…

なんだか凄く可愛かった。



そんな姿を見ると怒る気にも責める気にもなれず



「もういいよ!お腹空いたっしょ?早くカラオケ行こ」



そう言って気持ちを切り替えた。



「ゆきちゃん…うん!」



そう答えたトシくんは満面の笑顔だった。



そしてトシくんを乗せて少し離れた街中のカラオケBOXへ向かった。
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