君と出逢えたこと
私がバカだった。



上辺しか見ずに主人の心の底を見ようとして無かった。



「ごめん…私アホやった… 私なんか興味無いって思い込んでた…ほんまにごめん!」

自然と口から後悔の言葉が流れ出る。



「無理や…。もう無理や!お前は俺の何も解ってなかった…」



マイホームが欲しくて通勤には不便だけどと見つけたこの場所。



80坪もある広い敷地にガーデニングが出来る庭があって…


毎朝パンを焼くのが楽しみだった。


両隣にも子供と年の近い女の子が居て開拓したての広いこの周辺にはたくさんの子供とまだまだ広がる広大な土地もあって新しい小学校も出来る予定だった。


数年後には大手のショッピングモールも建設予定で…



子供には最高の環境だった。



私はその全てを棒に振ってしまったのだ。



「子供は渡さんからな!お前なんかに任せられるか!」

突然の主人の言葉に驚いた。



そんな…


子供だけは失いたくない!



私はバツイチ…



上の子のゆうかと下の子のはるかで父親が違う。



もし主人が引き取り、主人が再婚をしたら?


その人からすれば赤の他人の娘を可愛がってくれるのか…


父親は違うけど母親は私だけ。



「お願い。もしあなたが再婚をしたらその相手からすればゆうかもはるかも他人でしょう?しかもゆうかはあなたとすら血は繋がってないんよ?可愛がって貰えなかったら?私は何も要らんから。家財道具も車も養育費も。だから子供だけは私に引き取らせて」



「……そいつと今電話で話せるか?」



「え…?」



突然の展開に驚いた。


「話がしたいんや。電話してくれ」



「でも…」



「ええから!早く!」



どうしよう…

トシは当然主人に知られた事を知らない。



いきなり電話なんかしたらどんな反応する?



不安に思いながらも私は携帯を手に取った…
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