君と出逢えたこと
「もしもし…」



少し気まずくてハッキリともしもしと言えなかった。



「ゆき!俺が幸せにするから!苦労はさせへんから!だから一緒になろう!」



電話越しでも真剣な気持ちがわかる。



でも私の気持ちは揺らいでた。



「ありがとう…トシ。娘の事もあるし旦那とよく話し合うから。トシ…話してくれてありがとう…」

「当たり前やんか!俺は本気やからな!安心していいんやからな!何時になってもいいから…だから話が終わったら電話してきて!」



少し大人になったのかな…



なんだかトシがたくましく思えた。


「うん…解った。ありがとう」

「待ってるからな」



そっと電話を切った。


しばらく沈黙が続いた。



もう夜中の1時を過ぎていた。



「あいつは若いけどあいつの気持ちはわかったよ」



ボソッと主人が言った。



「俺はお前と離婚する。やり直すのはもう無理や」



やり直すのは無理…

当然の結果。



だけどまだ揺らいでる私の気持ち。

でも裏切ったのは私…



反論は出来なかった。



「わかりました…離婚します。でも娘だけは!」

「俺が慰謝料をあいつに請求する事も出来るんや。正式には未成年やからあいつの親にやけどな」



慰謝料…考えても無かった。

でも当たり前か…。



だけどトシにそんな負担はかけたくなかった。
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