君と出逢えたこと
「何もいらんから!娘だけ一緒ならそれで構わんから!慰謝料なら私が払うから!だからトシにだけは…」



勝手な事を言ってるのはわかってた。

けどトシはまだ若い。

私ともしダメになったとしてもトシにはまだ未来がたくさんある。

だから重荷にはなりたくなかった。



「ゆうてみただけや…そんな事する気もないよ。なるべく早く出て行ってくれ。俺は養育費も払わん。家財道具もやらん。子供だけはしっかり見てくれ。それだけや。盆までには出て行ってくれ」



お盆…


今は7月終わり。


約2週間。



借金はあっても貯金は無い。



でも今更私の気持ちや言葉でなんとかなるわけでもない。


受けるしか無い。



「わかりました…」



トシと歩むかどうかは別として、離婚は決定した。



私も覚悟を決めるしかないんだ。



「俺の親にはお前が話せ。可愛がって貰ったやろ。日曜日に呼ぶから…」




そうか…

離婚て事は主人の両親とも縁を切るって事か。



ふと主人の両親が頭に浮かんだ。



実の息子の主人以上にいつも私を可愛がってくれた。



近所でも自慢の嫁なんよといつも言ってくれた。



連れ子のゆうかのことも受け入れてくれてむしろ子供が居ることを喜んでくれてた。
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