俺様御曹司と蜜恋契約

 「お前が心配だから」





温かな日差しが降り注ぐ日曜日の午後。

白を基調としたまるで西洋のお城をイメージする建物は主に結婚式場として使われていて、その中にあるカフェは一般の人も入ることができるようになっている。

赤い屋根の下にあるオープンテラス席には木製のテーブルがいくつか並べられていて、街の様子を眺めながらこの時期だと爽やかな風を感じてお茶をすることができる。

「わぁ!夢見たいです。一回来てみたかったんですよここのカフェ」

ようやく入ることができた憧れのカフェに気分が高鳴り、ぐるぐると辺りを見渡す私に葉山社長がすかさず言った。

「来たかったのにどうして今まで来なかったんだよ」

「そ、それは…。私にこのカフェは敷居が高いというか」

結婚式場として使われている建物だけあってその豪華な造りになんとなく入店をためらってしまっていた。でも葉山社長となら入れるような気がして。

今日は『行きたいところに連れて行ってやるよ』と葉山社長が言ってくれたので私は迷わずにこのカフェを選んだ。

休日のこの時間帯はいつも満席らしく並ばないと入れないらしいけど、到着してみたらすんなりと席に通された。どうやらこのカフェが入っている結婚式場のオーナーと葉山社長が知り合いらしく、連絡を入れたところ一席を予約して取っておいてくれたらしい。葉山社長…どれだけ顔が広いのだろう。

「お待たせしました。当店オリジナルパフェになります」

可愛らしいけれど上品な衣装を身に着けた女性店員さんが運んできたパフェをゆっくりとテーブルに置いた。

「ごゆっくりどうぞ」

歳はたぶん私と同じか少し下くらいかもしれない。くりくりとした大きな目が印象的な美人さんだ。
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