俺様御曹司と蜜恋契約
「花。一品できたぞ」
厨房の奥から父親の声が聞こえる。その声に「はーい」と答えて向かえば、ふわふわな卵が上に乗った親子丼が出来上がっていた。それを島田さんに届けると嬉しそうな顔で割り箸を口で割った。
「そうそうこれこれ。週の真ん中の水曜日は湯本食堂の親子丼ってずっと決めてんだ」
島田さんは私が小さい頃からいつも決まって水曜日の7時半を過ぎると食堂へやって来る。そして親子丼を注文するのだ。
普段は奥さんの手料理を食べるけれど、週に一度だけうちの親子丼をどうしても食べたくなるらしい。父親も常連客の島田さんにだけは特別の大盛りを提供している。
親子丼を食べながら、島田さんが思い出したように言った。
「そういやぁみっちゃんはどうした?今日は姿が見えねぇが」
「あ、えっと。母親はちょっと足の骨を折ってしまって」
「骨を折っただと?大丈夫なのか?」
「はい。4週間もすればまたお店に出られると思います」
「そうか。そりゃ、たつ坊も大変だなぁ。それで花ちゃんも家の手伝いしてるのか」
どんぶりを持ち上げた島田さんがご飯をがつがつと口の中へ入れていく。
ちなみにみっちゃんとは『道子』という母親の名前で、たつ坊とは『辰夫』という父親の名前だ。両親とは古い付き合いである島田さんは両親のことをそう呼んでいる。
厨房の奥から父親の声が聞こえる。その声に「はーい」と答えて向かえば、ふわふわな卵が上に乗った親子丼が出来上がっていた。それを島田さんに届けると嬉しそうな顔で割り箸を口で割った。
「そうそうこれこれ。週の真ん中の水曜日は湯本食堂の親子丼ってずっと決めてんだ」
島田さんは私が小さい頃からいつも決まって水曜日の7時半を過ぎると食堂へやって来る。そして親子丼を注文するのだ。
普段は奥さんの手料理を食べるけれど、週に一度だけうちの親子丼をどうしても食べたくなるらしい。父親も常連客の島田さんにだけは特別の大盛りを提供している。
親子丼を食べながら、島田さんが思い出したように言った。
「そういやぁみっちゃんはどうした?今日は姿が見えねぇが」
「あ、えっと。母親はちょっと足の骨を折ってしまって」
「骨を折っただと?大丈夫なのか?」
「はい。4週間もすればまたお店に出られると思います」
「そうか。そりゃ、たつ坊も大変だなぁ。それで花ちゃんも家の手伝いしてるのか」
どんぶりを持ち上げた島田さんがご飯をがつがつと口の中へ入れていく。
ちなみにみっちゃんとは『道子』という母親の名前で、たつ坊とは『辰夫』という父親の名前だ。両親とは古い付き合いである島田さんは両親のことをそう呼んでいる。