俺様御曹司と蜜恋契約



「だからごめんって。勝手に名前出したりして。調子に乗り過ぎた」

葉山社長には珍しく私に謝罪の言葉を口にしている。

「初めは彼女いないって言ったんだよ俺。でもインタビューの女性記者がそれだとおもしろくないから、いることにしましょうよ!なんてお目めキラキラさせて言うから、つい……」

約1か月振りに葉山社長から電話がかかってきたのは、あのファッション誌に掲載されたインタビュー記事を見た翌日のことだった。

それまでまったく連絡をしてこなかったことが嘘のようにしれっとした態度で『花の料理が食べたくなった』という連絡がきた。ちょうど仕事終わりだった私はすでに通い慣れた葉山社長の高級マンションへと向かい、その夕食の席であのインタビュー記事の件について聞いてみた。

「だからってどうして私のことを出すんですか!」

「ごめんって」

「もしもあの記事が見られたら…」

お箸を持ったまま私は深いため息を吐いた。

今のところ葉山社長の顔を知っているのは両親と陽太だけ。でも2人とも彼が葉山グループの社長だということはまだ知らない。もしも今回の雑誌のインタビュー記事を見られてしまったら……。
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