俺様御曹司と蜜恋契約
これ以上は嘘が増えないように田中のおばあちゃんのもとを早く離れよう。そう思ったとき、聞いたことのある声が近くで聞こえた。
「やっぱりそうだ。花ちゃんの声がすると思ったら」
田中団子屋のお隣にあるパティスリーSASANOから出てきたのは笹野さんだった。
「もしかしてそちらの方が花ちゃんの婚約者さん?」
笹野さんの言葉に田中のおばあちゃんが目を丸くさせる。
「あらやだ。彼氏じゃなくてもう婚約者だったのかい。じゃあ今日は花ちゃんの両親に挨拶でもしに来たの?」
すると今度は田中団子屋の向かいにあるマツダ理容室から金色のベリーショートな髪型の女性がハサミを持ったまま飛び出してきた。こちらもたぶん私たちの話し声が店内に届いたのだろう。
「えっ。来てるの?花ちゃんの婚約者……あっ、その人ね」
松田さんがこっちに向かって走ってくる。
「あらやだ。本当にイケメン」
葉山社長のまわりをぐるぐると回りながら観察をする松田さん。葉山社長が苦笑いを浮かべながらも「初めまして」と挨拶を返している。
そんなことをして騒いでいたら、今度はマツダ理容室のお隣にある山波クリーニング店から青いエプロン姿の山波さんがお店から顔を出した。
「なんか盛り上がってるのね~。あらっ、そちらのスーツの方。もしかして花ちゃんの?」
山波さんの言葉に松田さんが笑顔で頷く。
「そうなのよ。この人が花ちゃんの噂の婚約者なのよ」
「背が高くてモデルさんみたいね~」
どうしよう。どんどんみんなが集まってくる。だから葉山社長を連れて商店街の中を歩きたくなかったのに。
こうなったら早く商店街を出ないと。そう思い葉山社長の腕を掴みその場から離れようとしたのだけれど。
「おっ、花ちゃん。そっちの男前は誰だい?」
精肉店の小柴さんまでやって来てしまった。
「花ちゃんが陽太以外の男と歩いているなんて珍しいな」
魚屋の高木さんはお昼からお酒を飲んでいるのかやたらと声が大きい。
「この人は枝山さんって言って花ちゃんの婚約者らしいよ」
田中のおばあちゃんが小柴さんと高木さんに向かって嬉しそうに報告をしている。
「……」
だめだ、もう逃げられない。
その後も私たちの話し声を聞きつけた他のお店の人たちが集まってきてしまい、私と葉山社長はその場から身動きが取れなくなってしまった。
「やっぱりそうだ。花ちゃんの声がすると思ったら」
田中団子屋のお隣にあるパティスリーSASANOから出てきたのは笹野さんだった。
「もしかしてそちらの方が花ちゃんの婚約者さん?」
笹野さんの言葉に田中のおばあちゃんが目を丸くさせる。
「あらやだ。彼氏じゃなくてもう婚約者だったのかい。じゃあ今日は花ちゃんの両親に挨拶でもしに来たの?」
すると今度は田中団子屋の向かいにあるマツダ理容室から金色のベリーショートな髪型の女性がハサミを持ったまま飛び出してきた。こちらもたぶん私たちの話し声が店内に届いたのだろう。
「えっ。来てるの?花ちゃんの婚約者……あっ、その人ね」
松田さんがこっちに向かって走ってくる。
「あらやだ。本当にイケメン」
葉山社長のまわりをぐるぐると回りながら観察をする松田さん。葉山社長が苦笑いを浮かべながらも「初めまして」と挨拶を返している。
そんなことをして騒いでいたら、今度はマツダ理容室のお隣にある山波クリーニング店から青いエプロン姿の山波さんがお店から顔を出した。
「なんか盛り上がってるのね~。あらっ、そちらのスーツの方。もしかして花ちゃんの?」
山波さんの言葉に松田さんが笑顔で頷く。
「そうなのよ。この人が花ちゃんの噂の婚約者なのよ」
「背が高くてモデルさんみたいね~」
どうしよう。どんどんみんなが集まってくる。だから葉山社長を連れて商店街の中を歩きたくなかったのに。
こうなったら早く商店街を出ないと。そう思い葉山社長の腕を掴みその場から離れようとしたのだけれど。
「おっ、花ちゃん。そっちの男前は誰だい?」
精肉店の小柴さんまでやって来てしまった。
「花ちゃんが陽太以外の男と歩いているなんて珍しいな」
魚屋の高木さんはお昼からお酒を飲んでいるのかやたらと声が大きい。
「この人は枝山さんって言って花ちゃんの婚約者らしいよ」
田中のおばあちゃんが小柴さんと高木さんに向かって嬉しそうに報告をしている。
「……」
だめだ、もう逃げられない。
その後も私たちの話し声を聞きつけた他のお店の人たちが集まってきてしまい、私と葉山社長はその場から身動きが取れなくなってしまった。