俺様御曹司と蜜恋契約
「お前がいない間に親から聞いたんだ。結婚して10年目でようやくできた子だって」
「まぁ、はい…」
たしかに私は両親が35歳のときにようやくできた一人娘だけれど。
「大切に愛されて育ったんだろうな。だからそんな風にお前は優しいんだよ」
俺と違って、と葉山社長が自嘲気味な笑みを見せる。
「なぁ、少しだけ俺の話してもいい?」
「えっ。…はい、どうぞ」
この前は私の陽太への恋の話も聞いてもらったし、それに葉山社長の話を聞いてみたかった。そういえば私は彼について知っていることが少ないから。
「俺の母親が料理研究家の葉山今日子っていうのは知ってるよな?」
「はい」
初めて葉山社長のマンションに行ったときに教えてもらった。葉山社長が母親のことを嫌いだということも。
「俺の親父っていうのが無類の女好きで、愛人の家を渡り歩いているような最低なヤツだったんだ。って、まぁ俺もそのDNAを受け継いじゃったみたいだけど」
そう言って葉山社長が小さく笑った。
なるほど…。
葉山社長の女性関係の派手なところはお父様譲りだったというわけか。
それから葉山社長は小さく息を吐くといつになく真面目な表情で話を続ける。
「母親は、そんな親父の分の飯も毎晩きちんと用意して帰りを待ってるような人でさ。父親はきっともう母親への愛は少しもなかったけど、母親は親父への愛がまだあったんだよな」
葉山社長のお父様といえば葉山グループの前代表取締役社長で、去年、病気で亡くなったことはニュースで大きく取り上げられていた。そのあとを追うように亡くなった葉山今日子とは『おしどり夫婦』としても有名だったんだけど。
「でも結局いつも親父は愛人の家から帰って来ない。だからガキの頃の飯はいつも母親と二人で食べてた。栄養面や見た目や味、料理研究家のあの人らしくいつも完璧な料理だった。それに親父の好物ばかりがいつも食卓に並んでた。そんなもん作っても親父は帰ってこねーのに。だからいつも必ず一食分の飯が残るんだよ。もったいなくて俺がその分も全部食ってた」
葉山社長は当時のことを思い出しているのかその視線はどこか遠くへ向けられている。その横顔を見つめながら私は彼の言葉に耳を傾け続けた。
「まぁ、はい…」
たしかに私は両親が35歳のときにようやくできた一人娘だけれど。
「大切に愛されて育ったんだろうな。だからそんな風にお前は優しいんだよ」
俺と違って、と葉山社長が自嘲気味な笑みを見せる。
「なぁ、少しだけ俺の話してもいい?」
「えっ。…はい、どうぞ」
この前は私の陽太への恋の話も聞いてもらったし、それに葉山社長の話を聞いてみたかった。そういえば私は彼について知っていることが少ないから。
「俺の母親が料理研究家の葉山今日子っていうのは知ってるよな?」
「はい」
初めて葉山社長のマンションに行ったときに教えてもらった。葉山社長が母親のことを嫌いだということも。
「俺の親父っていうのが無類の女好きで、愛人の家を渡り歩いているような最低なヤツだったんだ。って、まぁ俺もそのDNAを受け継いじゃったみたいだけど」
そう言って葉山社長が小さく笑った。
なるほど…。
葉山社長の女性関係の派手なところはお父様譲りだったというわけか。
それから葉山社長は小さく息を吐くといつになく真面目な表情で話を続ける。
「母親は、そんな親父の分の飯も毎晩きちんと用意して帰りを待ってるような人でさ。父親はきっともう母親への愛は少しもなかったけど、母親は親父への愛がまだあったんだよな」
葉山社長のお父様といえば葉山グループの前代表取締役社長で、去年、病気で亡くなったことはニュースで大きく取り上げられていた。そのあとを追うように亡くなった葉山今日子とは『おしどり夫婦』としても有名だったんだけど。
「でも結局いつも親父は愛人の家から帰って来ない。だからガキの頃の飯はいつも母親と二人で食べてた。栄養面や見た目や味、料理研究家のあの人らしくいつも完璧な料理だった。それに親父の好物ばかりがいつも食卓に並んでた。そんなもん作っても親父は帰ってこねーのに。だからいつも必ず一食分の飯が残るんだよ。もったいなくて俺がその分も全部食ってた」
葉山社長は当時のことを思い出しているのかその視線はどこか遠くへ向けられている。その横顔を見つめながら私は彼の言葉に耳を傾け続けた。